銀の兜の夜


        

       書の中に白日の下さらされて  ゑぽむ


我が家の実情がそっくりに描かれていた


私たち夫婦と太郎と次郎と友人と・・・


河童は母性と受け止めた


その身そのものが凶器となった兄を遠つ国に送ろうとした弟を


背後から止めたのは私だ


父親は内なる激情をもってして命を落としたのだった


最終部に明かされる真実に慄然とした




       

       ほっとして見上げる空に残り花  ゑ



満開の桜は恐い 見ないようにして歩いていたが
散り果てようとしている今は 木を見上げることができる
なにしろ「桜の木の下には死体が埋まっている」のだ






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