幼子の寝顔


        

       幼きを抱きて過ぐる温みかな   ゑぽむ




可愛い寝顔 安心しきってママの胸に眠っている


あぁ 私もこうしてこの幸せを味わっていたのだった


小さな大切な私の命 離すものかと抱きしめていた


おんぶもおなじ  家にかえって下ろしたとたんに背中が胸が寒かった


「おいで! だっこよ」


抱っこを「あっこ あっこぉ〜」とせがむ次郎は可愛かった


「ダッコ ダッコよ」


太郎はやきもちやいて不機嫌だったな


体格が良くて抱っこは重かった


買い物帰りに 歩き疲れて「お母さんボク抱っこしたい」と言う


背中に次郎 手には買い物袋。。。


ニセアカシアの木の下においてちょっとだけ抱っこ


買ったりんごをかじって食べさせる 


「美味しい?」 うん おいしい


なだめながら家まで20分ほど


あの頃は 広瀬川添いの道を歩いていた


広瀬橋 宮沢橋 懐かしい また行ってみたいが


景色は変わっているだろう


野っぱらには駆けていくウサギのおしりも見えていた


ニセアカシアの花の香りは良かった


私は26歳だった


若かったな 短歌帳と文庫本をいつも持って歩いていた


太郎は百人一首をそらで憶えて


「ぼくね 花のちるらんのところが素敵できれいと思うの」と


私を嬉しがらせたっけ


眠る子供の顔をみながらしばし思い出にひたり幸せをかみしめた





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