コバが猫の国に召されて一年


        

       わがコバよ愛しの汝の年巡り   ゑぽむ


コバの仔猫時代は知らない 太郎が拾って育てたからだ
もうおばあさん猫になって連れてこられて
その威風堂々たる美しさにみとれた
最初は触れることさえはばかられたほど
ガブリっと噛まれて手が腫れて熱が出てうわ言という事態にもなった
置いていかれてコバは荒れた 家中のクロスをガリガリ
淋しかったんだね
寒いと私の布団にはいってくるようになった
温かなコバを抱いて まるで小さな赤ん坊の太郎を抱く想いだった
コバ! 立派だったね 歩けなくなった夕方
がんばって立とうとする 抱いてトイレに連れていくと
どれほど我慢していたのか 長々とおしっこをして
そして横になって 安らかな顔になっていった
初めて夫婦で泣いたよ コバ コバよ





        

       ただ独り宇宙を歌う花にあふ   ゑぽむ


コスモスが野に立っていた 人に会ったようでお辞儀をした
もう秋風が吹き始めましたね
外はすだく虫の音に満ちています
コバにお花を






                ✿