原節子さんの思い出

初めて読んだ小説は 石井桃子さんの「ノンちゃん雲に乗る」だった
小学校の低学年の頃 叔父さんにもらった古びた本
それはそれは私の心を惹きつけ夢中にさせた
幾度繰り返して読んだかしれない
それはもう暗記してしまうほどだったな

今朝 女優の原節子さんの訃報に あぁと思い出した
ノンちゃん役は鰐淵晴子さん そしてノンちゃんのお母さんは
原節子さんだったのだ
後に映画で観てワクワク! 本の通りそのままで
始まりの木漏れ日の眩しさを新鮮に思い出す
当時の私はあまりに幼くて原さんの美しさよりも
ノンちゃんの可愛らしさにうっとりしたものだった

今朝のニュースによれば
監督の小津さんが亡くなってからは
きっぱり映画の世界から遠ざかったという
95歳での逝去
私の大好きなノンちゃんのお母さんのご冥福をお祈りする

原さんは雲の上の存在だったようだけれど
ほんとうに雲の上に逝ってしまわれた
優しい美しいお母さん
どうか私たちを見守って下さい




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