石原吉郎の詩

    泣きたいやつ


おれよりも泣きたいやつが

おれのなかにいて

自分の足首を自分の手で

しっかりつかまえて

はなさないのだ

おれよりも泣きたいやつが

おれのなかにいて

涙をこぼすのは

いつもおれだ

おれよりも泣きたいやつが

泣きもしないのに

おれが泣いても

どうにもなりせぬ

おれよりも泣きたいやつを

ぶって泣かそうと

ごろごろたたみを
ころげてはみるが

おいおい泣き出すのは

きまっておれだ

日はとっぷりと

軒先で昏れ

おれははみでて

ころげおちる

泣きながら縁先を

ころげてはおちる


ないてくれえ

ないてくれえ

     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


一月二十日「共鳴ということ」で書いたhttp://d.hatena.ne.jp/EPOM/20120120/1327004155

この本の詩と文章がまるで水を飲むようにごくんごくんと喉を通って
からだのすみずみにしみた 沁みとおった
私の水で私の血のようだ このような詩文は初めて出会った
幾枚付箋をはさんだことか 本が厚みをもった


昨日「お母さん そちらは雪ですか」と沖縄の娘から電話
降ってないわよ 暖かよ 郡山は寒かったわ 
米寿のおじいちゃんが雪かきよ 見物しちゃった
白鳥と鴨がねいっぱいいてね 鴨をいじめる白鳥を撮ったわ
鴨は佃煮にしたいほどいたわ etc 笑かす こういう性癖の私
「太郎君にかわります」
はいはい なあに ねえ 良い本ねえ
「そうでしょ サンチョ・パンサがいいでしょ」
うん お水をごくんごくんと飲むように読めたわ
「EPOMさん 分かってるねさすが」
こら 親にEPOMさんとはなにごとよ
でもさ 鬱ってラーゲリって感じよね
「あぁ そうかもね」
まぁ・・・元気でね じゃあね また推薦図書教えてね


おんぶして本を読みながら煮物の鍋を焦がしたこともある
親の背中を見てではなく 親の本を読んで育った
二人の息子の読書習慣 というより本体質 これは実に唯一の成功